暮らし

<介護>高齢者見守り非接触センサー

最先端のレーダー技術を応用して、カメラやウェアラブルデバイスを用いることなく、高齢者の睡眠状態や異常のモニタリングを実現しました。AIによる解析で様々な活動データをいつでも確認することができます。アラートや長期的変化などを確認できることで、介護の質を向上し介護従事者の負担も軽減します。ICT技術の活用やプラットフォーム化の検討を進め、介護業界への新たな価値創出を目指します。

背景と課題

世界に類を見ない超高齢社会に突入する中、その勢いは止まらずに高齢者人口が増加し続け、神戸市においては高齢化率27.1%と政令市第3位(平成27年国勢調査結果)となっています。介護が必要な認定を受けた要介護者人口も共に増加の一途を辿っています。その中で介護施設の需要が増加しており、高齢者本人にとってはもちろん、その家族にとってもますます重要な位置付けとなっています。

一方で少子化による労働力人口の減少を背景に、介護施設での人材不足についても問題となっております。安心安全な介護の実現へ向け、今後は業務を効率化し、介護職員の業務負荷を減らし、介護業務の生産性をさらに高めていくことが必要となっております。

解決のアプローチ

解決へ向けて、介護のICT化や科学的介護を促進していくことが重要であるといえます。NTTドコモイノベーション統括部では先端技術を活用することで、介護職員の業務負担を軽減しながら、より質の高い介護を同時に実現できないか検討を続けておりました。

その中で、米国スタートアップのTellus You Care, Inc.(テラス)の技術に着目しました。テラスの提供する技術は、小型のワイヤレスセンサーを活用して体の微細な動きを検知することで、利用者の室内での活動状況や心拍数及び呼吸数をリアルタイムで把握することを可能としています。カメラではないため、プライバシーに配慮しております。また、ウェアラブルでもないため、高齢者本人が機器を身につけるといった煩わしいことも必要ありません。これにより、職員はリアルタイムで利用者をモニタリングすることが可能で、特に人手の少ない夜間や早朝の巡回を行う際に役立てることができます。

取得したデータを分析することで、例えば不規則な睡眠状況であることにも気付けるため、利用者の介護状態改善のための規則正しい生活を支援することにも繋がります。機能面で優れていながら、介護現場で使いやすいように、センサーの設置が簡単で、ドコモのモバイル通信でも利用でき、簡単操作のダッシュボード画面といった特徴もあります。

実証実験の内容

技術検証と運用検証を経て、2021年12月より、株式会社シーナが運営するサービス付き高齢者向け住宅である翔月庵 神戸大開にて実証実験を行います。

本実証実験では「科学的介護の実践」を目指し、従来では十分に把握することができなかった利用者の日々の睡眠状況や夜間の起床回数を記録し分析をもとに、介護プランへ反映し、食事や運動といった実際の介護を改善することで、介護状態の改善や認知症の悪化を未然に防ぐことに取り組みます。また、利用者の状況が記録されていることによる、職員への業務負荷軽減の効果についても検証します。

実証実験についての報道発表ページへ

今後の展開

実証実験の結果も踏まえ、センサーでの見守りをより多くの介護施設へ広げていくために、日本全国への販売拡大を目指します。技術的観点では、テラスと共にセンサーやクラウドの機能を進化させ、介護サービスとのさらなる連携や外部の体温計や室温・湿度計などのIoT機器とのデータ連携、スマホアプリを活用した業務効率化なども検討し、介護業務全体の最適化に貢献するトータルソリューションの提供へ向けて検討します。

さらに、将来的には介護施設だけではなく、在宅での介護に対する活用も視野に入れ、包括的にあらゆる形の介護を支えていくサービス提供を目指していきます。

関連する案件紹介