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<防災>AIによる河川の見守りサービス

背景と課題

近年、ゲリラ豪雨や線状降水帯などにより全国各地で河川の氾濫が多発しています。2021年には8月から西日本を中心に記録的な大雨が降り、全国で土砂災害や水害により被害が相次ぎま した。近年では、これまで氾濫することなどのなかった中小河川の氾濫なども増え、氾濫による家屋等への被害は止まるところを知りません。

安心安全なスマートシティの実現へ向け、いち早く河川氾濫を察知し対応を行い、氾濫の被害を少しでも減らすことが求められています。

解決のアプローチ

数が多く監視することが難しい中小河川にも監視の目を広げるためには、従来の河川監視カメラや水位計よりも、より安く・手軽に設置することができ、監視に人手を必要としない監視方法が必要です。そこでNTTドコモでは、柔軟に設置場所を変えることのできるモバイルカメラとエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社のAI技術を組み合わせることによって、次世代の河川監視方法を考案いたしました。

乾電池によって動作するモバイルカメラは電源を工事などで用意する必要がないため、どのような場所にでも手軽に設置することができ、またAI技術によってカメラ画像から自動で水位の上昇を検知するため、人が監視カメラを見続ける必要がなく、監視コストを大幅に低減することができます。さらに気象庁が提供している降水予測と組み合わせることによって、数時間先の水位を予測することもできるため、河川が氾濫してしまう前に対策を取ることができるようになります。

梅雨時期などのピンポイントの監視や水害によって被害が出てしまった場所の監視、工事などのために河川を調査したい場合など様々な場面でご活用いただくことができます。

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実証実験の内容

2020年7月1日より神戸市内のいくつかの河川にて、モバイルカメラを設置し実証実験を行っております。実証実験を進めながら河川の画像、降水量、水位のデータを蓄積し、カメラ画像から現在の水位を判定するAI及び水位と降水量のデータから将来の水位を予測するAIの開発を行いました。実証実験の結果、モバイルカメラを設置するだけで、増水のピークを誤差10分以内、水位の誤差が平均16%程度で将来の水位を事前に予測できることなどがわかりました。

今後の展開

今後は多くの地域の河川の安心安全に貢献するべく、日本全国での実証を進めてまいります。また、実証を進める中でAIの精度をさらに向上させ、河川が氾濫する前に事前に察知し対応し、被害を最小限にすることのできる、安心安全なスマートシティの実現を目指します。

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