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お客さまが快適に利用できる小型モビリティシェアリングサービス運用のためのAIシステム開発

小型モビリティシェアリングサービスは、ラストワンマイルの移動手段として注目され、世界中の都市で導入が進んでいます。そしてこれらのサービスにおいて、利用者が快適に利用できる状態を維持するためには、ポートごとの車両の配置数やバッテリーの状態などを適正に保つ「再配置業務」が欠かせません。

私たちは、「再配置業務」を効率化するために、再配置とバッテリー交換作業を同時最適化したルートをAIが生成する「シェアリングオペレーション最適化システム」を開発し、ドコモ・バイクシェアに導入しました。

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背景と課題

小型モビリティシェアリングサービスは、街中のポートで小型モビリティを利用者が自由に借りたり返却したりできるサービスです。利用者の増加が見込まれる一方、貸し出し・返却拠点であるポートの数や車両台数の増加により、ポートごとの車両の配置数やバッテリーの状態などを適正に保つ「再配置業務」が複雑になっていることから、効率化が運営上の課題となっています。

解決のアプローチ

そこでドコモは、再配置とバッテリー交換という二つの作業を同時に効率に行えるように最適化された再配置ルートを AI が生成し、再配置を担当する作業員にレコメンドする「シェアリングオペレーション最適化システム(以下、本システム)」を開発しました。本システムは、機械学習によって予測した将来の需要予測に基づきシミュレータで車両の動きを再現することで、ポートごとの貸し出し可能車両台数やバッテリー切れ車両台数の予測値を算出し、作業を行うポートの順序と各ポートでの車両の回収・配置台数やバッテリー交換台数を最適化した再配置ルートを生成します。作業員は、生成された再配置ルートをタブレット端末などで確認しながら再配置業務を行います。

システムの特長

本システムの特長は、貸し出し・返却の履歴といった実績データや気象データ、曜日や時間帯、さらに「モバイル空間統計® ※1」の「国内人口分布統計(リアルタイム版)」から得た人口統計情報などのさまざまなデータを組み合わせることで高精度な需要予測を可能とするとともに、トラックに積載されている車両台数・バッテリー数やトラックごとの最大積載可能台数、ポート間の移動距離など現実に即した情報も考慮することで、その時々の状況に合わせた再配置ルートの生成を実現したことです。このように柔軟にルートをレコメンドする本システムの導入により、人知ではたどりつかない作業効率で再配置業務を行うことができるようになるため、利用者がいつでもどこでも快適に利用できるサービス品質の提供につながります。

ドコモは本システムを、株式会社ドコモ・バイクシェアが展開する自転車シェアリングサービス「ドコモ・バイクシェア※2」に導入し、実運用を通して得られたフィードバックやデータを蓄積し、予測の精度やレコメンドルートの有効性を検証することで、システムを改良します。

※1 モバイル空間統計とは、ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。「モバイル空間統計」および「国内人口分布統計(リアルタイム版)」は集団の人数のみを表す人口統計情報であるため、お客さま個人を特定することはできません。詳細は、下記サイトをご確認ください。
https://mobaku.jp/
※2「ドコモ・バイクシェア」は,利用者が街のさまざまな場所に設置された専用の駐輪場を自由に選んで自転車の貸し出し・返却をし、 電動アシスト付き自転車で快適に移動できるサービスです。 詳細は、下記サイトをご確認ください。
https://docomo-cycle.jp/

今後の展開

私たちは、本システムに用いている技術の適用の幅を、さまざまな需給最適化問題に広げることが可能だと考えています。今後は他公共交通機関や自治体などさまざまなパートナーとの共創を通じ、環境負荷を抑えた移動手段の普及によるカーボンニュートラルの推進など、ドコモがめざす ”Wellbeing Society”の実現に向けて取り組んでいきます。

担当者

小出 英理

小出 英理
KOIDE ERI

クロステック開発部
株式会社NTTドコモ

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