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サービスの最適化をめざし量子コンピューティング基盤を開発
NTTドコモは、サービスの最適化をめざし、量子アニーリング技術を活用した量子コンピューティング基盤を開発しました。7月から、基地局への負荷軽減と着信集中時の混雑緩和を目的として、全国の基地局に順次適用を開始します。
背景と課題
モバイル通信において、基地局は端末の着信を可能にするためにページング信号を発信し、端末からの応答で位置を把握しています。しかし、スマートフォンの普及やIoT機器の増加に伴い、ページング信号のデータ量は増加傾向にあり、基地局への負荷が増大しています。特に、端末からの応答がない場合、より広範囲への再送が必要となり、この負荷はさらに増大します。
解決のアプローチ
ドコモは、この課題を解決するために量子コンピューティング技術を活用した量子コンピューティング基盤を開発しました。この基盤は、従来のコンピューターでは処理しきれない大規模なデータ処理を可能にし、ページング信号の削減を実現します。具体的には、端末の着信・終話履歴などのログデータを基に、量子コンピューターを用いてページング信号を送る基地局のグループ(トラッキングエリア)を最適化します。これにより、信号数を最小限に抑え、基地局のリソースに余裕を持たせることで、通信品質の安定化をめざします。
実証実験の内容
東海、中国、九州エリアの基地局で実証実験を実施し、量子コンピューターを用いたページング信号削減アルゴリズムの有効性を検証しました。その結果、ピーク時のページング信号数を最大15%、平均7%削減することに成功しました。これは、着信集中時に従来よりも約1.2倍多くの端末を接続できることに相当し、基地局の負荷軽減と通信品質の向上につながります。
今後の展開
今回の実証実験の成功を受け、ドコモは2024年7月からこの量子コンピューティング基盤を全国の基地局に順次適用する予定です。また、通信領域だけでなく、ドコモが提供する様々なサービスにもこの技術を展開し、より快適なサービス提供ををめざします。
担当者
福田 修之
Fukuda Shuichi

R&D戦略部社会実装推進担当
株式会社NTTドコモ
服部 拓海
Hattori Takumi

R&D戦略部社会実装推進担当
株式会社NTTドコモ
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