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モバイルネットワークデータから将来の渋滞を予測し交通分散を実現するAI渋滞予知
「AI渋滞予知」は、行楽地などへの人出の多さが「帰りの渋滞」の発生有無や規模など交通状態に影響をあたえることに着目し、モバイル空間統計※の国内人口分布統計(リアルタイム版)によって得られる人口データに基づき交通状態を予測する世界初の技術です。

人口と交通状態の関係性を学習してパターン化した「交通状態予知モデル」に、当日の人口分布を当てはめることにより、帰宅時間帯の交通状態(交通需要と所要時間)を予測します。

渋滞の発生前に予測結果を配信することにより、帰宅時刻の変更(時間分散)や立ち寄り先・乗降ICの変更(地理分散)などによる交通分散を促進します。

※「モバイル空間統計」は、株式会社 NTTドコモの登録商標です。
AI渋滞予知のこれまで
東日本高速道路株式会社様(以降、NEXCO東日本様)と2017年12月に東京湾アクアラインにおいてフィールド実証を開始しました。
「AI渋滞予知」技術に、NEXCO東日本様の交通工学的知見・ノウハウを掛け合わせることで、当日の人口から所要時間などを予測しドライバーに配信しています。
フィールド実証開始以降、ご利用者の期待への対応(時間帯別の予測結果提供、対象路線拡張など)を踏まえた拡充を実施し、2022年1月より東京湾アクアライン、関越自動車道で本格運用を開始しました。

2022年にはさらに京葉道路に拡張しました。出口渋滞の頻発する京葉道路においては、新たにETC2.0データを活用し、ICを降りる車両の所要時間を算出することで、人口から出口渋滞を考慮した所要時間を予測する技術を開発しました。2023年には京葉道路と接続している館山道まで提供範囲を拡大し、ご利用者の選択した始点~終点に応じた予測結果の提供を開始するなどさらなるサービス向上を実現しました。
AI渋滞予知の予測精度
東京湾アクアラインと関越自動車道において、所要時間の予測結果と実際の走行時間の1日を通しての最大誤差を評価したところ、従来予測(渋滞予報カレンダー)と比較して大幅な精度向上を確認できました。

さらなる精度向上に向けた改善を継続的に実施しています。
技術的な特徴と優位性
自動車プローブなどを用いた直近の交通状況に基づく予測方式は、ごく短時間先 (約1時間以内) までしか適切に予測できないとされるのに対し、AI渋滞予知は、交通需要を発生させる源流である「人口」に着目した予測をすることにより、これまで困難とされてきた数時間以上先の高精度な予測を実現します。

AI渋滞予知の予測情報の活用により、数時間先の情報に基づく余裕を持った行動変容を利用者に促すサービスを新たに提供できるようになることが期待できます。
AI渋滞予知の評価と行動変容効果
東京湾アクアライン、関越自動車道のお客様に対してアンケートを実施し(NEXCO東日本様) 、行動変容効果等について調査しました。
・2019年(アクアライン):2019 年 7 月 1 日(月) ~ 2019 年 8 月 31 日(土)
・2020年(関越道)   :2020 年 7 月 17 日(金) ~ 2020 年 9 月 16 日(水)

ご利用者にご満足いただくとともに、ご利用者の9割以上より今後の活用意向をいただいています。

AI渋滞予知を閲覧した人のうち、利用時間の変更やルート変更を起こした人の割合は、東京湾アクアラインで 75.6 %、関越自動車道で 90.9% となり、 AI 渋滞予知の高い行動変容効果が確認できました。
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